新規上場申請のための有価証券報告書
(Ⅰの部)
HEROZ株式会社
目次
頁
表紙
第一部 企業情報 ……… 1
第1 企業の概況 ……… 1
1.主要な経営指標等の推移 ……… 1
2.沿革 ……… 3
3.事業の内容 ……… 4
4.関係会社の状況 ……… 8
5.従業員の状況 ……… 8
第2 事業の状況 ……… 9
1.業績等の概要 ……… 9
2.生産、受注及び販売の状況 ……… 10
3.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ……… 11
4.事業等のリスク ……… 13
5.経営上の重要な契約等 ……… 16
6.研究開発活動 ……… 16
7.財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ……… 17
第3 設備の状況 ……… 19
1.設備投資等の概要 ……… 19
2.主要な設備の状況 ……… 19
3.設備の新設、除却等の計画 ……… 19
第4 提出会社の状況 ……… 20
1.株式等の状況 ……… 20
2.自己株式の取得等の状況 ……… 31
3.配当政策 ……… 32
4.株価の推移 ……… 32
5.役員の状況 ……… 33
6.コーポレート・ガバナンスの状況等 ……… 34
第5 経理の状況 ……… 40
1.財務諸表等 ……… 41
(1)財務諸表 ……… 41
(2)主な資産及び負債の内容 ……… 73
(3)その他 ……… 74
第6 提出会社の株式事務の概要 ……… 75
第7 提出会社の参考情報 ……… 76
1.提出会社の親会社等の情報 ……… 76
2.その他の参考情報 ……… 76
頁
第三部 特別情報 ……… 78
第1 連動子会社の最近の財務諸表 ……… 78
第四部 株式公開情報 ……… 79
第1 特別利害関係者等の株式等の移動状況 ……… 79
第2 第三者割当等の概況 ……… 81
1.第三者割当等による株式等の発行の内容 ……… 81
2.取得者の概況 ……… 84
3.取得者の株式等の移動状況 ……… 86
第3 株主の状況 ……… 87
[監査報告書]
【表紙】
【提出書類】 新規上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)
【提出先】 株式会社東京証券取引所 代表取締役社長 宮原 幸一郎 殿
【提出日】 平成30年3月15日
【会社名】 HEROZ株式会社
【英訳名】 HEROZ, Inc.
【代表者の役職氏名】 代表取締役CEO 林 隆弘
【本店の所在の場所】 東京都港区芝五丁目31番17号 PMO田町2F 【電話番号】 03-6435-2495(代表)
【事務連絡者氏名】 取締役CFO 経営企画部長 浅原 大輔 【最寄りの連絡場所】 東京都港区芝五丁目31番17号 PMO田町2F 【電話番号】 03-6435-2495(代表)
第一部【企業情報】
第1【企業の概況】
1【主要な経営指標等の推移】
回次 第5期 第6期 第7期 第8期 第9期
決算年月 平成25年4月 平成26年4月 平成27年4月 平成28年4月 平成29年4月 売上高 (千円) 507,410 1,315,447 1,193,663 1,155,693 877,623 経常利益又は経常損失(△) (千円) 58,976 102,698 △18,239 △23,035 94,352 当期純利益又は当期純損失
(△)
(千円) 36,860 70,009 △9,697 △87,007 94,062 持分法を適用した場合の投資
利益
(千円) - - - - -
資本金 (千円) 55,000 61,350 61,350 61,350 61,350 発行済株式総数 (株) 2,000 3,200,000 3,200,000 3,200,000 3,200,000 純資産額 (千円) 121,428 205,121 193,740 106,733 74,795 総資産額 (千円) 223,102 329,188 478,066 464,301 363,814 1株当たり純資産額 (円) 60,364.22 63.57 60.54 33.35 25.79 1株当たり配当額
(円)
- - - - -
(うち1株当たり中間配当 額)
(-) (-) (-) (-) (-) 1株当たり当期純利益金額又
は1株当たり当期純損失金額 (△)
(円) 18,430.38 22.24 △3.03 △27.19 29.44
潜在株式調整後1株当たり当 期純利益金額
(円) - - - - 28.51
自己資本比率 (%) 54.1 61.8 40.5 23.0 20.6 自己資本利益率 (%) 36.0 43.2 - - 103.6
株価収益率 (倍) - - - - -
配当性向 (%) - - - - -
営業活動によるキャッシュ・ フロー
(千円) - - - △138,959 111,250 投資活動によるキャッシュ・
フロー
(千円) - - - △4,299 2,527 財務活動によるキャッシュ・
フロー
(千円) - - - 170,000 △171,000 現金及び現金同等物の期末残
高
(千円) - - - 261,989 204,767
従業員数 (人) 17 39 67 53 32
(注)1.当社は連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については記 載しておりません。
2.売上高には、消費税等は含まれておりません。
3.持分法を適用した場合の投資利益については、関連会社を有しておりませんので記載しておりません。 4.1株当たり配当額及び配当性向については、配当を実施していないため記載しておりません。
5.第5期、第6期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、新株予約権の残高はありますが、 当社株式は非上場であるため、期中平均株価が把握できませんので、記載しておりません。
6.第7期、第8期における自己資本利益率については、当期純損失が計上されているため記載しておりませ ん。
7.株価収益率については、当社株式は非上場であるため、記載しておりません。
8.当社は第8期よりキャッシュ・フロー計算書を作成しておりますので、第5期から第7期までのキャッシ ュ・フロー計算書に係る各項目については記載しておりません。
9.第8期及び第9期の財務諸表については、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和38 年大蔵省令第59号)に基づき作成しており、株式会社東京証券取引所の「有価証券上場規程」第211条第6 項の規定に基づき、有限責任監査法人トーマツの監査を受けております。
なお、第5期、第6期及び第7期については、「会社計算規則」(平成18年法務省令第13号)の規定に基づ き算出した各数値を記載しております。また、当該各数値については、株式会社東京証券取引所の「有価証 券上場規程」第211条第6項の規定に基づく有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。 10.当社は平成26年4月25日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行っておりますが、第6期の期首に
当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△)を算定 しております。
11.当社は平成26年4月25日付で普通株式1株につき1,000株の株式分割を行っております。そこで、東京証券 取引所自主規制法人(現 日本取引所自主規制法人)の引受担当者宛通知「『新規上場申請のための有価証 券報告書(Ⅰの部)』の作成上の留意点について」(平成24年8月21日付東証上審第133号)に基づき、第 5期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算出した場合の1株当たり指標の推移を参考までに掲げる と、以下のとおりとなります。なお、第5期、第6期及び第7期の数値(1株当たりの配当額についてはす べての数値)については、有限責任監査法人トーマツの監査を受けておりません。
回次 第5期 第6期 第7期 第8期 第9期
決算年月 平成25年4月 平成26年4月 平成27年4月 平成28年4月 平成29年4月 1株当たり純資産額 (円) 60.36 63.57 60.54 33.35 25.79 1株当たり当期純利益金額又は1
株当たり当期純損失金額(△)
(円) 18.43 22.24 △3.03 △27.19 29.44 潜在株式調整後1株当たり当期純
利益金額
(円) - - - - 28.51
1株当たり配当額
(円)
- - - - -
(うち1株当たり中間配当額) (-) (-) (-) (-) (-)
2【沿革】
平成21年4月 東京都港区において、「驚きを心に」をコンセプトとして、人々の生活が便利に楽しくなるよう に、インターネットサービスの企画、開発および運営等を目的としてHEROZ株式会社(資本 金500万円)を設立
平成21年8月 株式会社ミクシィ「mixi」向けアプリを複数リリース
平成24年5月 人工知能を活用したスマートフォン向けネイティブアプリ(注1)「日本将棋連盟公認 将棋ウ ォーズ(注2)」をリリース
平成24年12月 株式会社アスキー・メディアワークス(現 株式会社KADOKAWA)との協業により、株式会社ディ ー・エヌ・エー「Mobage」向けアプリ「とある魔術の禁書目録 頂点決戦」をリリース 平成26年4月 人工知能を活用したスマートフォン向けネイティブアプリ「Backgammon Ace」(英語版)をリリ
ース
平成26年6月 株式会社KADOKAWAとの協業により、株式会社ディー・エヌ・エー「Mobage」向けアプリ「魔法科 高校の劣等生 スクールマギクスバトル」をリリース
平成26年12月 人工知能を活用したスマートフォン向けネイティブアプリ「CHESS HEROZ」(英語版)をリリー ス
平成28年4月 株式会社ポケモンとの協業により、人工知能を活用したスマートフォン向けネイティブアプリ 「ポケモンコマスター」をリリース
平成28年12月 株式会社バンダイナムコエンターテインメントと人工知能を活用した事業を行うために資本業務 提携を締結
平成29年1月 「ポケモンコマスター」の対応言語に英語を追加し、英語版タイトル「Pokémon Duel」として欧 米やアジアなど新たに64の国と地域で配信開始
平成29年7月 株式会社コーエーテクモゲームス、および株式会社ハーツユナイテッドグループと人工知能を活 用した事業を行うために資本業務提携を締結
平成29年8月 株式会社竹中工務店と人工知能を活用した事業を行うために資本業務提携を実施
(注)1.ネイティブアプリとは、Google Play StoreやAppStore等のアプリマーケットを通じてダウンロード し、端末で直接実行可能なプログラムで構成されたアプリケーションソフトになります。
(注)2.「将棋ウォーズ」には、人工知能「Ponanza」を搭載しております。当社エンジニア開発の人工知能 「Ponanza」は、平成25年3月「第2回将棋電王戦」において、日本将棋連盟立会の下で史上初めて現 役の将棋プロ棋士に勝利し、また平成29年4月「第2期電王戦」において、史上初めて現役将棋名人に 勝利しております。
3【事業の内容】
当社は、「驚きを心に」をコンセプトとして、人々の生活が便利に楽しくなるように、人工知能(以下「AI」(注 1)という)を活用したサービスを、個人向けには頭脳ゲーム等のアプリケーションとしてスマートフォンやタブレ ット端末上で展開し、企業向けには様々な領域における機械学習等のAIサービスとして提供しております。当社では 将棋AIの研究に取り組み続け、当社エンジニアが開発したAIが史上初めて現役プロ棋士や現役将棋名人に勝利するな どの実績を残してきました。また、これまでに当社が開発してきた「将棋ウォーズ」、「Backgammon Ace」、及び 「CHESS HEROZ」といった頭脳ゲーム(思考能力を用いて競うゲーム)に代表されるアプリケーションの開発を通じ て蓄積した機械学習(注2)等のAI関連技術は当社のコア技術となっております。当社は一般社団法人「人工知能学 会」の賛助会員として最先端の動向を把握するなど、AIを戦略的な重点分野と位置付け、ビジネスを行っておりま す。なお、AIビジネスの国内市場は成長を続けており、2015年は1,500億円となっておりますが、2020年には1兆20 億円、2030年には2兆1,200億円にも及ぶとの調査結果もあり(出所:富士キメラ総研「2016 人工知能ビジネス総調 査」平成28年11月)、AI関連市場は拡大を続けるものと見込まれております。
当社は、AI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりませんが、主たるサービスの特 徴を分類すると、(1)AIをBtoCビジネスとして展開する「AI(BtoC)サービス」、及び(2)AIをBtoBビジネスとして展 開する「AI(BtoB)サービス」になります。それぞれの収益は、AIサービスの使用料やスマートフォンアプリでの有 料課金収入となりますが、AIは、継続的にデータを入力し、その結果をフィードバックして機械学習を続けることに より、その精度が高まっていくという性質を持つため、当社のAIサービスを活用しているユーザーには継続利用する インセンティブが働くことになります。
(1)AI(BtoC)サービス
当社のAI技術は、将棋、囲碁、バックギャモン、チェスといった頭脳ゲームAI開発の過程で蓄積されました。具 体的には、ビッグデータと呼ばれる、従来のデータ処理技術では処理することが困難であると考えられる膨大なデ ータ群から、機械学習等の技術に基づいて重要な示唆を導き出す技法になります。例えば、将棋AIの開発において は、過去のプロ棋士の棋譜を活用した機械学習の導入以降、評価関数と呼ばれる局面の優劣を判断する関数の精度 が大幅に向上し、コンピューター将棋の棋力の向上が見られました。
図:将棋AI開発について
上図のとおり、機械学習導入以前の将棋AI開発においては、エンジニアによる手作業、つまり最善と考えられる 指し手を規定するためのプログラムを一行ずつ記述することによって、AIを開発することが一般的でした。しかし ながら、手作業によるプログラミングでは将棋AIの棋力向上には限界がありました。そこで、より精度が高い将棋 AIを高効率に開発するために機械学習が導入されることになりました。機械学習を用いることにより、コンピュー ターが過去のプロ棋士の棋譜データを自ら反復学習し、パラメーター調整等を自動で行いながら、手作業では記述 しきれない精緻なプログラムを構築することが可能となりました。その結果、当社エンジニアが開発した将棋AIが 2013年に現役プロ棋士に、また2017年には現役将棋名人に勝利することとなりました。また、2015年10月には、情 報処理学会から「コンピューター将棋プロジェクトの終了宣言」が出されており、AIが日進月歩で進化しているこ とが示されております。
図:将棋AI分野での機械学習の適用とその進歩
現在は、このような手法に加えて、深層学習(ディープラーニング)(注3)や強化学習(注4)といった手法 を実施しながら、日々AIの精度を向上させております。
当社ではこのAIを活用したアプリケーションを、主に、Google Inc.が運営するGoogle PlayやApple Inc.が提供 するApp Store等世界標準のプラットフォーム(注5)を通じてBtoCサービスとして展開しており、収益はそれら の有料課金収入が中心となります。またアプリケーションの運営効率化のためにもAIを活用しております。現在提 供しているアプリケーションの特徴としては、当社の戦略的な重点分野であるAIの活用に加えて、リアルタイムオ ンライン対戦技術を活用したサービスとしていることが挙げられます。一般的には、スマートフォン端末等におい ては、通信遅延の問題等によりリアルタイムオンライン対戦は困難とされておりますが、当社では同時対戦型アプ リケーションの豊富な開発経験をもとに高品質なリアルタイムオンライン対戦をユーザーに提供することが可能と なっております。主要なサービスの内容は下表の通りとなります。
アプリケーション 内容
将棋ウォーズ
会員数420万人以上を誇る世界最大のスマートフォン将棋ゲームアプリ(日本将棋連盟公認) で、現代特有のAIとグラフィックや音楽により、ユーザーは新しい将棋の世界観の中で全世界の プレイヤーとオンライン同時対戦が可能です。Google PlayやApp Store等のプラットフォームを 主として展開しております。本アプリにおいては、ユニークなAI課金を行っております。これ は、ユーザーがオンライン対戦しているときに、アプリ内で「棋神」と呼ばれる、当社エンジニ アが開発したAIである「Ponanza」が、ユーザーに代わって指し手を進めてくれる機能になり、 5手120円でユーザーに販売されております。また、終局後には「Ponanza」が算出する評価関数 に基づいてプレイ中の分析結果を振り返ることもでき、棋力向上に役立てることができます。日 本将棋連盟公認の免状・認定状(六段~5級)申請も可能となっており、将棋の全国大会の予選 にて使われることもあります。
また、民放キー局のAIをテーマにしたテレビドラマで使用等、各種メディアとの連携を強化して います。
Backgammon Ace
AIとグラフィックを駆使したバックギャモンのスマートフォンアプリで、Google PlayやApp Store等のプラットフォームを主として展開しております。ユーザーは世界中のプレイヤーとオ ンライン同時対戦やAIが算出する評価関数に基づく最善手やプレイの分析結果を知ることができ ます。
CHESS HEROZ
AIを最大限に活かし、快適・スピーディーなオンライン対戦を提供するチェスアプリで、Google PlayやApp Store等のプラットフォームを主として展開しております。華麗なグラフィックと洗 練されたユーザーインターフェイスの下、世界中のプレイヤーといつでもどこでも対戦すること ができます。AIが算出する評価関数に基づくベスト・ムーブやプレイの分析結果を知ることがで きます。
ポケモンコマスター
ポケットモンスター(ポケモン)の魅力的なキャラクターと強力なAIが融合した新しいボードゲ ームです。株式会社ポケモンとの協業により、平成28年4月にGoogle Play版とApp Store版をリ リースしております。平成29年1月には対応言語に英語を追加し、「Pokémon Duel」として世界 64の国と地域で配信を開始しております。
(2)AI(BtoB)サービス
将棋や囲碁といった頭脳ゲームにおけるAI開発では、深層学習等の機械学習を活用しておりますが、こうしたAI 開発の手法の根幹となるのは、ニューラルネットワークという人間の脳を模した学習システム等の汎用性の高い技 術になります。したがって、将棋等のAI開発で蓄積したAI関連の技術を活用することにより、インプットとなるデ ータを変えることで頭脳ゲーム以外の問題を解決することが可能となっております。このAI(BtoB)サービスにお いては、様々な領域の事業会社に対してAIサービスを提供しており、当社のAIが高い付加価値を創出できることが 実証されております。
当社ではAIサービス提供にあたっては、金融等の各業界に当社AI基盤技術を複製してBtoB向けAIを提供しており ますが、精度の高いAIサービスを提供するためには、各業界に蓄積されたデータを継続的に機械学習する必要があ ります。そのため、当社では積極的にパートナーシップ戦略を実行しております。すなわち、資本を含む提携を各 産業を代表する事業会社と実施することで、長期的な視点に立ち継続的にデータを活用した学習を行うことが可能 となっております。
なお、具体的には下表領域について、その初期設定から運用・継続学習フェーズにおいて、AIサービスを提供し ております。
領域 提供しているAIの内容 使用エンジン
金融
株価等の市場予測を行うAIや、ユーザーの投資行動を分析し投 資パフォーマンス向上に資するフィードバックを行うAI
予測エンジン 分類エンジン
建設
物件の構造や類似物件の設計情報等を活用して最適な構造設計 を行うAI
分類エンジン 最適解探索エンジン 人材 求職者と求人企業のマッチング精度を向上させるAI
分類エンジン 配置最適化エンジン
品質管理
サイト分析からテスト工程の生成・実行といったソフトウエア 検証(デバッグ)を行うAI
分類エンジン 異常検知エンジン 画像認識エンジン
ロボット ロボットを効率良く動かし目的を達成するAI
予測エンジン 経路最適化エンジン 画像認識エンジン
エンターテイメント
機械学習により頭脳ゲームにおいてユーザーの対戦相手となる AI、ユーザーの行動分析を行いその精度やユーザーの継続率を 向上させるAI
頭脳ゲームエンジン ゲーム開発エンジン
その他
(メディア領域等)
後述の機能別エンジンを組み合わせたAI
予測エンジン
配置最適化エンジン等
収益構造については、AIの提供開始時において、顧客から初期設定フィーを受領し、その後、継続する顧客から 月次で継続フィーを受領する収益構造を基本としております。すなわち、当社のビジネスモデルはフロー収入とな る初期設定フィーに加えて継続フィーを得ているストック型ビジネスとなります。また、AIの性質上、機械学習を 継続するほどその精度が向上することから、顧客にとっては当社AIサービスを継続使用するインセンティブが働く ため、当社は安定した収益基盤を確保することが可能となります。
また、各産業におけるAI構築ノウハウを蓄積するとともに、「HEROZ Kishin」と呼ばれる社内専用MLaaS (Machine Learning as a Service)(注6)を備えるなど、将棋AIで培ったAI技術の標準化が進んできており、 インプットするデータを変えるだけで幅広い産業で様々な課題に対して効率的にAIサービスを提供できる体制構築 を進めております。このMLaaSを活用して、各産業に対して上述のAIの提供を行っております。そして、AIサービ ス提供に際しては、大規模サーバ構築を含む包括的なAIサービスの提供体制を構築することにより、安定した収益 を獲得するように努めております。
図:MLaaS「HEROZ Kishin」の仕組み
なお、「HEROZ Kishin」には下表のような機能別エンジンがあり、それぞれのエンジンをカスタマイズしたり組 み合わせたりすることで、前述の領域における顧客ニーズに合わせて効率的に提供することが可能となります。 頭脳ゲームエンジン
将棋・囲碁・麻雀・ポーカー・チェス・バックギャモン等の頭脳ゲームをはじめ、その他ゲーム にも適応できるエンジンです。
予測エンジン
過去の蓄積データをもとに未来を予測し、与信判断や株価予測・ユーザー購買予測を行うエンジ ンです。
分類エンジン 様々なデータの特徴を理解し、適切なカテゴリに分類するエンジンです。 異常検知エンジン
センサーや数値の時系列データを解析し、通常状態では見られない、異常状態を特定し、アラー トをかけるエンジンです。
経路最適化エンジン
複数の制約条件のもとで目標までの最適な経路を探索し、状況に適した最適な経路を発見するエ ンジンです。
配置最適化エンジン
複数の制約条件のもとで、定められた評価軸に対して最適な結果を得るための配置を決定するエ ンジンです。
文章処理エンジン 自然言語を理解し、カスタマーサポートなどにおける個別対応に適したエンジンです。 最適解探索エンジン
過去のユーザー行動をもとに趣味・嗜好を判別し、最適なコンテンツ予測や最適ユーザーを探索 するエンジンです。
ゲーム開発エンジン
ゲームルール生成、コンピュータープレイヤーの創出、自動テストに対応できるゲーム用のエン ジンです。
画像認識エンジン 画像のピクセルデータから、顔や物体の特徴、年齢などの複雑な要素を認識するエンジンです。 (注)1.人工知能(AI)とは、コンピュータープログラムを用いて、人間と同等の知的能力を実現させるための基礎
技術及びシステムとなります。
(注)2.機械学習とは、人間が有する学習能力に類似した機能をAIに持たせることにより、AIが自動的に学習し進化 するための手法となります。具体的には、教師データ(学習の元になるデータ)に基づいて機械学習するこ とで、未知の状況においても、学習により構築したパターンに基づいて、AIが精度の高い判断を行うことが 可能になります。
(注)3.深層学習(ディープラーニング)とは、入力に対して出力を決める処理の層を深く(ディープに)したニュ ーラルネットワーク(人間の脳機能を模すことで効率の良い学習を施すことができる数学モデル)を用いる ことで、教師データが持つ特徴を手作業ではなくコンピュータープログラムが抽出し、精度向上を目指す機 械学習の一手法となります。
(注)4.強化学習とは、明確な教師データが与えられない環境において、コンピュータープログラムが試行錯誤によ ってその価値を最大化するように振る舞う、機械学習の一手法となります。
(注)6.MLaaS(Machine Learning as a Service)とは、機械学習を標準化して提供することが出来るサービスにな ります。
[事業系統図]
当社の事業系統図は以下のとおりであります。
4【関係会社の状況】
該当事項はありません。
5【従業員の状況】
(1)提出会社の状況
平成30年2月28日現在
従業員数(人) 平均年齢(歳) 平均勤続年数(年) 平均年間給与(千円)
34 33.8 3.1 4,521
(注)1.従業員数には正社員の他、契約社員も含みます。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
3.当社の事業セグメントは、AI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員数の記載はして おりません。
(2)労働組合の状況
第2【事業の状況】
1【業績等の概要】
(1)業績
第9期事業年度(自 平成28年5月1日 至 平成29年4月30日)
当事業年度における我が国経済は、一部には改善の遅れがみられたものの、政府の経済政策や日銀の金融緩和を 背景に緩やかな回復が続きました。一方で、米国における新政権樹立による世界経済の不確実性の高まり等もあ り、先行きは不透明な状況となっております。
このような環境のなか、当社エンジニアが開発し、プロ棋士に勝利した将棋AIを搭載したスマートフォンアプリ 「将棋ウォーズ」が引き続き安定した収益を上げました。また、収益性の低いモバイルアプリの運営を停止する一 方、BtoB領域においては、当社AI技術を「HEROZ Kishin」として本格的に提供を開始するなど、社内リソースのシ フトに取り組んでまいりました。
以上の結果、事業の選択と集中を行ったことやBtoBサービス立ち上げにより一時的に売上は落ち込み、当事業年 度の売上高は877,623千円(前年同期比24.1%減)となりましたが、営業利益は88,854千円(前年同期は営業損失 22,949千円)、経常利益は94,352千円(前年同期は経常損失23,035千円)、当期純利益は94,062千円(前年同期は 当期純損失87,007千円)となりました。
なお、当社はAI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しておりま す。
第10期第3四半期累計期間(自 平成29年5月1日 至 平成30年1月31日)
当第3四半期累計期間における我が国経済は、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動等の影響により先行き 不透明な状況ではありながらも、企業業績が概ね好調に推移する中、個人消費の回復などにより穏やかな回復基調 が続いております。
このような環境のなか、AI(BtoC)サービスにおいては、当社エンジニアが開発し、現役将棋名人に勝利した将 棋人工知能を搭載したスマートフォンアプリ「将棋ウォーズ」が引き続き安定した収益を上げました。
AI(BtoB)サービスにおいては、当社AI技術を集約した「HEROZ Kishin」に関わる業務の標準化を続けておりま す。資本業務提携先等の事業会社に提供し、初期設定フィーと継続フィーともに収益を伸ばしております。
以上の結果、当第3四半期累計期間の売上高は871,896千円となり、営業利益305,237千円、経常利益303,948千 円、四半期純利益223,938千円となりました。
なお、当社はAI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しておりま す。
(2)キャッシュ・フローの状況
第9期事業年度(自 平成28年5月1日 至 平成29年4月30日)
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前事業年度末より57,221千円減少 し、残高は204,767千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果得られた資金は、111,250千円(前年同期は138,959千円の支出)でありま す。
この主な要因は、税引前当期純利益の計上94,352千円、売上債権の減少額30,829千円等によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果得られた資金は、2,527千円(前年同期は4,299千円の支出)であります。 この主な要因は、敷金及び保証金の回収による収入3,971千円があったものの、有形固定資産及び無形固定資産 の取得による支出1,143千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は、171,000千円(前年同期は170,000千円の収入)でありま す。
この主な要因は、転換社債型新株予約権付社債の発行による収入50,000千円があったものの、借入金の返済によ る支出105,000千円、自己株式の取得による支出126,000千円があったことによるものであります。
2【生産、受注及び販売の状況】
(1)生産実績
生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
(2)受注状況
提供するサービスの性格上、受注状況の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(3)販売実績
第9期事業年度及び第10期第3四半期累計期間の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称
第9期事業年度 (自 平成28年5月1日
至 平成29年4月30日)
第10期第3四半期累計期間 (自 平成29年5月1日
至 平成30年1月31日) 金額(千円) 前年同期比(%) 金額(千円)
AI関連事業 877,623 75.9 871,896
合計 877,623 75.9 871,896
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当社の事業セグメントは、AI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はして おりません。
3.最近2事業年度及び第10期第3四半期累計期間の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に 対する割合は次のとおりであります。
相手先
第8期事業年度 (自 平成27年5月1日
至 平成28年4月30日)
第9期事業年度 (自 平成28年5月1日
至 平成29年4月30日)
第10期第3四半期累計期間 (自 平成29年5月1日
至 平成30年1月31日) 金額(千円) 割合(%) 金額(千円) 割合(%) 金額(千円) 割合(%) Apple Inc. 166,610 14.4 144,961 16.5 216,209 24.8 Google Inc. 225,219 19.5 182,338 20.8 203,391 23.3 株式会社ポケモン 247,144 21.4 199,965 22.8 156,895 18.0 株式会社ディー・エ
ヌ・エー
297,569 25.7 182,986 20.9 88,276 10.1 4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針及び経営環境等
当社は、設立以来「世界を驚かすサービスを創出する」という理念のもと、将棋等の頭脳ゲームAIを開発する過 程で培った技術力を背景に、AI革命を起こし、未来を創っていく集団であり続けることを目指しております。
当社がビジネスを展開するAI関連の国内市場は成長を続けており、2015年の市場規模は1,500億円となっており ますが、2020年には1兆20億円、2030年には2兆1,200億円にも及ぶとの調査結果もあります(出所:富士キメラ 総研「2016 人工知能ビジネス総調査」平成28年11月)。今後、AI関連市場は拡大を続けるものと見込まれてお り、各産業で実用化に向けた取り組みが進んでおります。当社のAI関連事業は将棋等の頭脳ゲームAI領域から始ま りましたが、現在は建設などのインダストリアルAI領域へと適用範囲の拡大を続けております。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当社が対処すべき主な課題は以下のとおりであります。 ① 新技術への対応
当社が強みとするAI関連の技術は、将来的な利用可能性の高さから世界的に研究開発が活発に行われておりま す。このような事業環境の下で当社が事業を継続的に拡大していくには、様々な新技術に適時に対応していくこ とが必要であると認識しており、その対応を行っております。当社では、現在所属している一般社団法人「人工 知能学会」の賛助会員として最先端の情報収集に努め、またコンピューター将棋や囲碁AI関連の大会で上位入賞 するための情報収集や試行錯誤等を通じて、最先端のAI技術の開発と導入を行いながらその技術力向上に取り組 んでおります。
② サービスの安全性及び健全性の確保
ユーザーが安心して当社のサービスを利用できるように、当社では下記のガイドラインを設け、その安全性・ 健全性の確保に努めております。
当社の安全性・健全性に関するガイドライン 第1条(目的)
このガイドラインは、HEROZ株式会社(以下「当社」という)が運営・提供するゲーム等のサービスにつ いて、当該サービスを利用する者(以下「利用者」という)が安心・安全に楽しめるサービスの提供を実現する ために必要な施策を示すことを目的とする。
第2条(施策)
前条の目的を達するために以下の施策を行う。 (1)法令遵守の徹底
サービスの開発・提供に際して、景品表示法その他の関連する法令を遵守する。提供するサービスについ て将来的に違法と判明した場合は、直ちに停止する。
(2)20歳未満の利用者の保護の徹底
入会時もしくは課金時に年齢認証を行い、20歳未満の利用者による過度な課金利用を未然に防止する。月 間課金上限額(税抜)については、20歳未満利用者の場合、月額20,000円とし、16歳未満の場合は月額 5,000円とする。
(3)リアル・マネー・トレード(RMT)の禁止
RMTは一切禁止とする。利用規約においてRMTを禁止している旨を明記するとともに、RMT利用が判明した 利用者には、強制退会も含め、速やかに必要な措置を講じる。
(4)不適切行為に対する措置
利用規約違反など、サービスにおいて不適切と判断される行為を行った利用者に対しては、強制退会も含 め、速やかに必要な措置を講じる。
(5)利用者間コミュニケーションの監視
利用者間のコミュニケーションが安心・安全に行われるよう、定期的に監視し、利用者間の不適切なコミ ュニケーションを発見した場合には迅速な対処を行う。
(6)適切な有料アイテム出現確率
有料ガチャのようにランダムで出現する有料アイテムについては、その出現確率を適切な水準に設定す る。
(7)社員研修・教育
サービスの変化、利用者の状況の変化、その他社会状況等の変化に鑑み、当ガイドラインの内容を最適な状態 とするべく努力をする。
③ 情報管理体制の強化
当社では、AIをBtoCサービスとしては主に頭脳ゲーム等のモバイルアプリに適用しておりましたが、機械学習 等のAI技術は極めて汎用性が高く、現在、様々な業界に対してAIサービスの提供を行っております。このような AI開発のためには、それぞれの業界において蓄積されたデータが必要になるため、当社ではデータを有する企業 とのパートナーシップ戦略を採用しております。その結果、機密情報を扱う可能性は高まっているため、情報管 理規程等を定めることで管理を徹底しており、今後も社内教育を継続して行ってまいります。
④ システム基盤の強化
当社は収益の基盤となるサービスをインターネット上で展開していることから、システム稼働の安定性を確保 することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、システムを安定的に稼働させるための人員 の確保およびサーバの拡充に努めてまいります。
⑤ 知的財産権の確保等について
当社では、日々のAI開発業務から生じた新規性のある独自技術の保護のために、当社単独または共同開発企業 等と共同で、それらに関する特許権等の知的財産権の取得を図っております。しかしながら、AI開発分野におい ては、国内外大手IT企業等が知的財産権の取得に積極的に取り組んでいるため、当社も特許権等の取得により当 社の活動領域を確保することが課題であると認識しております。今後、様々な業界に対してAIを開発することに よって有用な知見が得られることが期待されるため、外部専門家とも協力しながら、独自の技術分野について は、他社に先立って戦略的に特許権を取得していきます。
⑥ 人材の確保
当社は、AI市場の拡大、新規参入企業の増加、顧客・ユーザーのニーズの多様化に迅速に対応していくため、 最先端の技術を有する人材の確保、育成が必要と考えております。
しかし、優秀な能力を持つ人材獲得は、他社とも競合し、安定した人材確保が容易ではない状況が今後も継続 すると考えております。当社としましては、技術力の高さを通じて市場でのプレゼンスを高め、会社の魅力を訴 求していくことが重要であると考えております。また、社内研修の強化等を図っていくことで人材の育成につな げたいと考えております。
⑦ 内部管理体制の強化
当社におきましては、今後もより一層の事業拡大を見込んでおります。そのため、当社の事業拡大に応じた内 部管理体制の構築を図るとともに、金融商品取引法における内部統制報告制度の適用等も踏まえ、より一層のコ ーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。
また、当社の成長速度に見合った人材の確保および育成も重要な課題と認識しており、継続的な採用活動と研 修活動を行ってまいります。
4【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある 事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、 投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以 下に開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避および発生した場 合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項および本書中の本項以外の記載事項を慎 重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能 性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業内容に関するリスクについて ① AI関連市場について
当社が属するAIビジネスの国内市場は成長を続けており、2015年の市場規模は1,500億円となっております が、2020年には1兆20億円、2030年には2兆1,200億円にも及ぶとの調査結果もあります(出所:富士キメラ総 研「2016 人工知能ビジネス総調査」平成28年11月)。今後AI関連市場は拡大を続けるものと見込まれており、 各産業でAIの実用化に向けた取り組みが進んでおります。
しかしながら、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合には、当社の事業および業績に影響を与える可能性が あります。また、市場の拡大が進んだ場合であっても、当社が同様のペースで順調に成長しない可能性がありま す。さらに、市場が成熟していないため、今後、大手企業による新規参入等により市場シェアの構成が急激に変 化した場合には、当社の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
② モバイル関連市場について
我が国の個人別モバイル端末の保有状況は2013年には71.4%となっていましたが、2016年にはさらに上昇して 83.6%となっており(出所:総務省「平成28年通信利用動向調査の結果」平成29年6月)、モバイル関連市場は 継続的に拡大するものと見込まれます。
しかしながら、市場の成長ペースが鈍化し、当社が市場環境の変化に適切に対応できなかった場合には、当社 の事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 技術革新について
当社の事業領域であるAI関連市場は全世界で研究開発が進んでおり、技術革新の速度が極めて速いという特徴 があります。当社はそうした技術革新に対応できる体制づくりに努めており、AIを活用したビジネスにより収益 の拡大を図っていく所存でありますが、今後において技術革新のスピードに適時に対応出来ない場合、当社の事 業および業績に影響を与える可能性があります。
④ プラットフォーム運営事業者の動向
当社のBtoCサービスは、大手プラットフォーム事業者がサービス提供するプラットフォーム上において、各社 のサービス規約に従いサービスを提供しており、当該事業者に対して、回収代行手数料、システム利用料等の支 払いを行っております。プラットフォーム事業者による手数料や利用料等の料率変更や事業戦略の転換があった 場合ならびに今後の同事業者の動向は、当社の事業および業績に影響を与える可能性があります。
⑤ モバイルアプリについて
当社が提供するモバイルアプリにおいては、アプリおよびゲーム内でのアイテム課金や月額プレイ課金による 収益が主たる収入となっているため、ユーザーの嗜好にあった課金アイテムの提供を行い、ユーザーに継続して アプリを利用してもらえるように運営しております。しかし、ユーザーのアイテム課金や月額プレイ課金が継続 して利用されない状況になった場合、想定していた収益が得られない可能性があります。この結果、当社の事業 および業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑥ 機密情報の管理体制について
当社のAIが学習対象とする情報の中には、顧客の経営戦略上極めて重要かつ機密性が高い情報が含まれる場合 があります。当社では、顧客から提供されるデータの管理においては、アクセス制限等を行うことで社内での機 密性確保並びに漏洩防止を図っておりますが、万が一これら機密情報の漏洩が生じた場合、当社への信頼性が揺 らぎ、当社の経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 競合の動向について
当社のAI関連事業については、本書提出日現在で競合他社が全世界に存在しているほか、新規参入事業者も非 常に多く見受けられます。
当社としましては、これまで培ってきたAI技術を活かして、顧客・ユーザーのニーズに合致したAIサービスの 開発を継続していく所存ではありますが、競争環境の更なる激化等、競合の状況によっては、当社の事業および 業績に影響を与える可能性があります。
⑧ システム障害について
当社の事業は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しているため、自然災害や事故等により通信ネ ットワークが遮断された場合には、サービスを提供することが不可能な場合があります。また、アクセスの一時 的な増加による負荷増大によって、当社のサーバが停止し、サービス提供に支障が出る場合があります。
更には、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入等の犯罪や当社担当者の過誤等によって、当 社のシステムに重大な影響が出る場合があります。当社としましては、定期的なシステムのバックアップを実施 するとともに、外部のデータセンターを利用することでセキュリティ強化や安定的なシステム運用ができるよう な体制の構築に努めておりますが、前述のような状況が発生した場合には、当社への損害賠償等により直接的な 損害が生じる可能性のほか、当社および当社システムへの信頼の低下により、間接的に当社の事業および業績に 影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 自然災害、事故等について
当社では、自然災害、事故等に備え、定期的バックアップ、稼働状況の常時監視等によりトラブルの事前防止 または回避に努めておりますが、当社所在地近辺において大地震等の自然災害が発生した場合、当社設備の損壊 や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生して、当社の事業および業績に重要な影響を及ぼす可 能性があります。
⑩ 法的規制について
当社の事業は、「電気通信事業法」「不当景品類及び不当表示防止法」等による法的規制を受けております。 また、コンテンツ制作等を外注している場合があり、それらの取引の一部は「下請代金支払遅延等防止法」の適 用対象となります。当社では、これらの法令を遵守するために、コンプライアンス体制の整備等を含む管理体制 充実に取り組んでおります。しかし、今後、インターネットの利用者や関連するサービス及び事業者を規制対象 とする新たな法令等の制定や法解釈の変更がなされ、将来において当社が提供するサービスやコンテンツが法的 規制に抵触することとなった場合、当社の業績及び企業イメージに影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業運営・組織体制に関するリスク ① 特定人物への依存について
当社共同創業者である林隆弘、高橋知裕の両名は当社の事業推進に極めて重要な役割を果たしております。当 社としましては、両名に過度に依存しない事業体制の構築を目指し、人材の育成および強化に注力しております が、何らかの理由により両名が業務執行できない事態となった場合、当社の事業および業績に影響を与える可能 性があります。
② 知的財産権の管理について
当社は、運営するコンテンツおよびサービスに関する知的財産権の獲得に努めております。また、第三者の知 的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払っております。しかしながら、今後当社が属する事業分野において 第三者の権利侵害が成立した場合は、第三者より損害賠償および使用差止め等の訴えを起こされる可能性および 権利に関する使用料等の対価の支払が発生する可能性があり、また当社の知的財産が侵害された場合において も、当社の事業および業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 人材の採用と育成について
④ 小規模組織であることについて
当社は小規模な組織であり、内部管理や業務執行についてもそれに応じた体制となっております。当社では、 今後の業容拡大及び業務内容の多様化に対応するため、人員の増強及び内部管理体制や業務執行体制の一層の充 実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には、当社の業績および事業 展開に影響を与える可能性があります。
⑤ 内部管理体制について
当社は、企業価値の持続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠で あるとの認識のもと、業務の適正性および財務報告の信頼性の確保、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守の徹 底が必要と認識しております。
そのためにも、当社では内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、今後の事業の急速な拡大等に より、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の 事業および業績に影響を与える可能性があります。
⑥ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は取締役および従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブ等を目的として、新株予約 権を付与しているほか、今後も優秀な人材確保のため新株予約権を発行する可能性があります。現在付与されて いる、または今後付与する新株予約権の行使が行われた場合、発行済株式数が増加し、1株当たりの株式価値を 希薄化させる可能性があります。本書提出日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は264,200株であり、 発行済株式総数3,288,339株の8.0%に相当しております。
⑦ 資金使途について
公募増資による調達資金の使途につきましては、主にサーバ等への設備投資、外部サーバ費用等の通信費、研 究開発費、今後の事業拡大に必要な人件費や人材採用費、広告宣伝費等に充当する予定です。しかしながら、当 社の所属する業界においては急速に事業環境が変化することも考えられ、それに伴う今後の事業計画の見直し等 により、本書提出日現在における資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。また、当初の計画に沿 って資金を使用した場合においても、想定した投資効果が得られない可能性もあります。この場合、当社の経営 成績並びに財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 配当政策について
当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、 安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
しかしながら、本書提出日現在では配当を行っておらず、また今後の配当実施の可能性および実施時期につい ては未定であります。
⑨ 訴訟等について
5【経営上の重要な契約等】
(1)スマートフォン・タブレット端末向けアプリプラットフォーム運営事業者との契約
相手方の名称 契約の名称 契約内容 契約期間
Apple Inc.
iOS Developer Program License Agreement
iOS搭載端末向けアプリケー ションの配信及び販売に関す る契約
1年間(1年毎に自動更新)
Google Inc.
Androidマーケットデベロッ パー販売/配布契約書
Android搭載端末向けアプリ ケーションの配信及び販売に 関する契約
契約期間は定められておりま せん。
(2)共同開発先との契約
相手方の名称 契約の名称 契約内容 契約期間
株式会社ポケモン 協業契約
「ポケモンコマスター・ Pokémon Duel」の開発・運営 に関する契約
サービス開始後2年間が経過 する日まで(その後1年毎に 自動更新)。
6【研究開発活動】
当社は、将棋・囲碁その他ゲームにおいて適用可能な、汎用的なゲームAI開発手法の研究開発、またそれをさらに 普遍化した高効率な機械学習アルゴリズムの開発及び高効率な計算サーバ構築のための研究開発に取り組んでおりま す。社内体制としては、世界コンピューター将棋選手権等で首位を獲得したことがあるAI開発者や、東京大学等で機 械学習の研究経験があるなど高い専門性を有するメンバーを中心に研究開発を行っております。
第9期事業年度(自 平成28年5月1日 至 平成29年4月30日) 該当事項はありません。
第10期第3四半期累計期間(自 平成29年5月1日 至 平成30年1月31日) 当第3四半期累計期間における研究開発活動の金額は、3,413千円であります。
当第3四半期累計期間においては、新規頭脳ゲームやその他BtoB領域において適用可能かつこれまでよりもより効 率良くAIの精度を高めることが出来る機械学習アルゴリズムの研究開発を主に行いました。これはAIの開発期間短縮 や開発コスト削減に資する研究開発活動になります。
7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 (1)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。そ の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与 える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しております が、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
(2)財政状態の分析
第9期事業年度(自 平成28年5月1日 至 平成29年4月30日) (資産の部)
当事業年度末における資産の額は、前事業年度末に比べ100,487千円減少し363,814千円となりました。
これは主に、流動資産において現金及び預金の減少57,221千円、売掛金の減少30,199千円があったこと等により ます。
(負債の部)
当事業年度末における負債の額は、前事業年度末に比べ68,549千円減少し289,018千円となりました。
これは主に、流動負債において預り金の増加22,934千円、固定負債において転換社債型新株予約権付社債の増加 50,000千円があったものの、買掛金の減少31,628千円、未払金の減少4,709千円、短期借入金の減少90,000千円が あったこと等によるものであります。
(純資産の部)
当事業年度末における純資産の額は、前事業年度末に比べ31,937千円減少し、74,795千円となりました。 これは当期純利益94,062千円の計上があったものの、自己株式の取得126,000千円があったこと等により減少し たものであります。
第10期第3四半期累計期間(自 平成29年5月1日 至 平成30年1月31日) (資産の部)
当第3四半期会計期間末における資産の額は、前事業年度末に比べ621,515千円増加し985,329千円となりまし た。
これは主に、流動資産において現金及び預金の増加552,183千円、売掛金の増加36,874千円があったこと等によ ります。
(負債の部)
当第3四半期会計期間末における負債の額は、前事業年度末に比べ69,027千円減少し219,991千円となりまし た。
これは主に、流動負債において未払法人税等の増加104,961千円、転換社債型新株予約権付社債の減少150,000千 円があったこと等によるものであります。
(純資産の部)
当第3四半期会計期間末における純資産の額は、前事業年度末に比べ690,542千円増加し、765,338千円となりま した。
これは主に、四半期純利益計上に伴う利益剰余金223,938千円の計上、転換社債型新株予約権付社債に係る新株 予約権の権利行使にともない、資本金が50,000千円、資本剰余金が343,822千円増加、自己株式が72,781千円減少 したこと等によるものであります。
(3)経営成績の分析
第9期事業年度(自 平成28年5月1日 至 平成29年4月30日) ① 売上高
当事業年度の売上高は877,623千円(前年同期比24.1%減)となりました。これは主に、スマートフォン向け ネイティブアプリ「将棋ウォーズ」や株式会社ポケモンとの協業による「ポケモンコマスター(英語版タイトル 「Pokémon Duel」)の牽引があった一方で、スマートフォン向け「嫁コレ」のサービスを平成28年8月に終了し たためであります。
② 売上原価、売上総利益
③ 販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、103,131千円(前年同期比30.7%減)となりました。これは主 に、広告宣伝費が減少したこと等によるものです。
この結果、当事業年度の営業利益は、88,854千円(前事業年度は22,949千円の営業損失)、経常利益は、 94,352千円(前事業年度は23,035千円の経常損失)となりました。
これらの結果を受け、当事業年度の当期純利益は94,062千円(前事業年度は87,007千円の当期純損失)となりま した。なお、法人税、住民税及び事業税は290千円(前事業年度は537千円)であります。
第10期第3四半期累計期間(自 平成29年5月1日 至 平成30年1月31日) ① 売上高
当第3四半期累計期間における売上高は、871,896千円となりました。これは主に、スマートフォンアプリ 「将棋ウォーズ」やAI(BtoB)サービス等が牽引したことによります。
② 売上原価、売上総利益
当第3四半期累計期間における売上原価は474,892千円となり、この結果、売上総利益は397,003千円となりま した。
③ 販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益
当第3四半期累計期間における販売費及び一般管理費は91,766千円となりました。
なお、営業外損益の主な内容は出資分配金収入743千円、株式公開費用2,000千円などであります。 この結果、営業利益は305,237千円、経常利益は303,948千円となりました。
これらの結果を受け、当第3四半期累計期間の四半期純利益は223,938千円となりました。なお、法人税等調 整額を含む法人税等合計は80,010千円であります。
(4)キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「1 業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照 ください。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
「4 事業等のリスク」に記載した通り、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重 要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向や業界動向を注視しつつ、優 秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な 影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
(6)経営戦略の現状と見通し
AIは日進月歩の高度な技術でありますが、当社には本分野の最先端の知見を有する者が多数所属しております。 当社では、将棋AI研究で培った最先端の機械学習ノウハウを蓄積した「HEROZ Kishin」によるAIサービスをBtoB領 域で開始しております。今後の方針としても引き続き、当社では自社の強みが活き、かつ今後の拡大が見込まれる AI関連市場に経営資源を投入していく所存です。具体的には、①AIを活用したBtoC領域で引き続き安定的な収益を 伸ばす、②「HEROZ Kishin」によるAIサービスをBtoB領域で伸ばす、③パートナーシップ戦略、④知財戦略、⑤人 材採用、の5点に注力することで競争優位性を保ち、持続的な成長を目指します。
第3【設備の状況】
1【設備投資等の概要】
第9期事業年度(自 平成28年5月1日 至 平成29年4月30日)
当事業年度において、実施した設備投資の総額は1,023千円であり、主なものは業務用のパソコンなどでありま す。
また、当事業年度において重要な設備の除却又は売却はありません。
なお、当社の事業はAI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第10期第3四半期累計期間(自 平成29年5月1日 至 平成30年1月31日)
当第3四半期累計期間において、実施した設備投資の総額は1,612千円であり、主なものは業務用のパソコンなど であります。
また、当第3四半期累計期間において重要な設備の除却又は売却はありません。
なお、当社の事業はAI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
2【主要な設備の状況】
当社における主要な設備は、以下のとおりであります。
平成29年4月30日現在
事業所名 (所在地)
設備の内容
帳簿価額
従業員数 (人) 建物
(千円)
工具、器具及び備 品(千円)
ソフトウエア (千円)
合計 (千円) 本社
(東京都港区)
本社事務所 1,745 2,370 593 4,708 32
(注)1.金額には消費税等を含めておりません。
2.本社の建物は賃借物件であり、年間賃借料は33,565千円であります。
3.当社の事業セグメントは、AI関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりませ ん。
3【設備の新設、除却等の計画】
(平成30年2月28日現在)当社の設備投資については、景気予測、業界動向、投資効率等を総合的に勘案して策定しております。 なお、最近日現在における重要な設備の新設計画は下記のとおりであります。
(1)重要な設備の新設等 事業所名
(所在地)
設備の内容
投資予定額
資金調達 方法
着手及び完成予定年月
完成後の 増加能力 総額
(千円)
既支払額 (千円)
着手 完了
本社 (東京都
港区)
計算機 サーバ
70,000 -
増資資金及 び自己株式 処分資金
平成30年 5月以降
平成31年 4月まで
(注)2
本社 (東京都
港区)
計算機 サーバ
130,000 -
増資資金及 び自己株式 処分資金
平成30年 11月以降
平成31年 4月まで
(注)2
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.完成後の増加能力につきましては、計数的把握が困難であるため、記載を省略しております。